10月17日(妊娠41週1日) ついに…入院
朝、普通に仕事に行く時間に起きて、少し遅れて嫁さんが起きてきます。


嫁さん「お腹、かなり痛いんだよね…。」
さふぁ「えっ? いつから?」
嫁さん「えっと…。」


実は3時くらいから15分おきくらいに痛みがあって、そこではいったん再び
眠りについたようですが、5時半くらいに再び痛みで目が覚めたそうです。
その時トイレに行ったらドロッとしたおしるしのようなものがあって、痛みの
ほうもうずくまるくらいの痛みだったとか。


さふぁ「なんで3時の時点で起こさなかったの?」
嫁さん「いや、私も眠かったし…。」
さふぁ「う〜ん、仕事…休んじゃおうかな…。」
嫁さん「取りあえず、お母さんに電話してみる」


お母さんの見解によるとその程度では本格的な陣痛じゃなく、本当の陣痛が
来るまでまだ時間がかかるとのこと。待っていてもしょうがないので、仕事に
行ってきなさいとのことでした(^^;


1時間後にお母さんがこっちに来てくれることになったので、私は休むつもり
だったけど仕事に行くことにしました。心配ですけど、何十年も助産師として
何百人も取り上げてきて、自身も3人も産んだ「プロ中のプロ」がついていて
くれるんですもん。こんなに頼もしいサポーターがついてくれることなんて、
なかなかあることじゃないです。どーんと任せちゃいましょう!


さふぁ「じゃ、何かあったらすぐ電話してね。タクシーで帰ってくるから。」
嫁さん「うん、行ってらっしゃい。」


職場について上司と目があったら「あれ? 来ちゃったの?」という表情(^^;


上司「あれ〜、まだ来てないのかい?」
さふぁ「いや、実は今朝、まだ弱いけど陣痛らしきものが来たんですよ。」
上司「来た!?」
さふぁ「たぶん今日は途中で抜けることになると思いますσ( ̄▽ ̄;)」
上司「そうだね〜。そっか、そっか。」


やはり仕事はあまり手に着きません。
10時半くらいに「様子、どぉ?」とメールしてみました。


陣痛の間隔はさらに狭まって5分くらいになったらしいんですが、一回の陣痛
が30秒も続かないみたい。取りあえず昼くらいに病院に電話して内診をして
もらってから入院するかどうかになるようです。
お母さん的には陣痛の持続時間から「入院もどうかね〜?」ってことみたい。
さすがプロ、冷静です。子宮口も開いてて2,3pだろうとのこと。


う〜ん、このメールのやりとりしてたら…ものすごく帰りたくなってきた。
もう仕事なんてやってる場合じゃないでしょ〜!? ダメですか?帰っちゃ?


そして昼休み。嫁さんから電話が来ました。


さふぁ「どうだった?」
嫁さん「このまま入院することになるって。今、手続きしてるとこ。」
さふぁ「そっか…。どれくらいかかるんだろう?」
嫁さん「あ、今お母さんと変わるから待って…」
義 母「もしもし。」
さふぁ「今日は朝早くからスイマセン。まだだいぶかかりそうですか?」
義 母「うん、まだまだ。今日出てくればいいけど、明日までかかるかもね」
さふぁ「そうですか…。じゃ、5時で仕事終わったらそっち向かいますので」


そして1時間後。


さふぁ「係長。嫁さん入院したらしいので、2時で帰ってもいいですか?


無理っす! 5時なんて無理っす!!!
急ぎの仕事もないし、これ以上意地張ってここにいてもしょうがないです。
こんな落ち着かない人に横で仕事されても、周りの人も困るでしょう…?
ということで…素直に帰ることにしましたっ! 幸い、職場の人達も応援の
言葉とともに快く送り出してくれました。
いつもいろいろと気を遣ってくれるし、ホントにいい人達です! 感謝!


帰る途中に一応実家に電話。


さふぁ「弟にさっきメールしたけど、話は聞いてる?」
母  「あぁ、聞いてるよ〜。アンタもう帰るのかい?」
さふぁ「そう、切り上げてきちゃったよ。」
母  「ホントに付き添いするの? やめといたほうがいいと思うよ〜。


せっかく本人がその気になってるのに、なんてこという母でしょう( ̄、 ̄;)
取りあえず、妹が4時半に帰ってくるので、それから札幌に向かうそうです。


14:30。家に到着。嫁さんに電話します。


さふぁ「どう? 大丈夫?」
嫁さん「今ね、モニターつけてたとこ。まだまだかかるってさ〜。」
さふぁ「そっか…。なんか持ってくモノある?」
嫁さん「う〜ん、マタニティスクールの本持ってきて。」
さふぁ「わかった。本読む時間ありそうなの?」
嫁さん「うん。お母さんも横で本読んでるよ。」
さふぁ「そっか。じゃぁ、適当に本持ってくわ。食べ物も。また後でね。」


と言うことで、ひよこクラブ、はらはら妊婦分娩室(高野優・著)、週刊Gallop、
マタニティスクール本、たけのこの里、私用コンタクトセットを持って病院へ。
なんかおかしなモノが何個か混じってますが(笑)


15:00。病院に到着。
LDRの場所はマタニティスクールの見学の時に来たお陰で知っている<ので
簡単に見つかりました。4個あるうちの一番奥の部屋。


さふぁ「ちわ〜。あら、まだ普通の服着てるんだ? 調子は?」
嫁さん「う〜ん…。あっ、来たかも…。………!」
義 母「仕事休んできたの? まだまだかかるよ〜。」


家で見ていた時とは明らかに痛みが違う感じす。これが陣痛なのか…。


嫁さん「あっ、なんかドロッとしたものが出たかも…?」
義 母「そっか、じゃぁ(お産パット)取り替えるかい。」
助産師さん「じゃ、服もお産用の服に着替えますか。」


ここで、お産用の紙でできた使い捨て用の服に着替えます。いよいよ本当に
これから出産が始まるんだなという感じになってきましたよ!


16:30。陣痛を促進するために階段の上り下り。
さふぁ「よし、頑張ろう。あともうちょっとで次の階だよ。」
嫁さん「ハァ、ハァ…。くっ、来た…!」
さふぁ「大丈夫…? 収まったかな。」
嫁さん「なんかさ、(夫が)元気そうでイライラするんだけど(笑)」
さふぁ「だろうね(^^;」


17:08。
嫁さん「………うぅぅぅ! ………今までで最大級かも…。」
嫁さんの目に涙が。痛そうだ…。
陣痛に耐えている嫁さんは普段とは違う、余裕の全くない表情です。
なんか…違う人みたいに見えてきた。


17:10。
私の実家の人達電話するために部屋を出ました。今こっちに向かっている
ところみたいです。あと20分くらいで到着するみたい。


ガララ(LDRのドアを開ける)
さふぁ「ふー。……っ!? ど、どうしたの!?」


助産師さんとお母さんで嫁さんのお産パットを取り替えてるんですが、何か
バタバタしている様子。


義 母「今、破水したんだよ。」


なぬー!? は、破水!?
私が席を外してる間にそんなことになっているとは…。こんな時に外に出た
ことをちょっと後悔しました…。しかし、破水まで来て、いよいよ誕生の時が
近づいてきた感じがします。
ここで内診。子宮口は3p開いているそうです。内診の後は分娩監視装置を
つけ、赤ちゃんの心拍・陣痛をナースステーションでモニタできるようにします。
心拍はドクンドクン…と、LDR内でも音を聞くことができます。


嫁さん「………くっ、………フー………フー……!」
義 母「ハイ、息吸って…吐いて…。目は開けるんだよ。力入っちゃうから。」
嫁さん「ねぇ…テニスボール出してくれないかな…。」
さふぁ「あぁ、アレね。わかった。」


陣痛時にゲンコツやボールで肛門を圧迫すると楽になると言われています。
そのためのテニスボールなんですが、実はこれ、既に出産を終えた嫁さんの
ママ友から受け継いだものなんです。


さふぁ「………こう?」
嫁さん「………あ、少し楽かも…」
義 母「ボールが押し返されるのを感じたら、陣痛が来てるんだよ」
さふぁ「ほ、ホントだ…。なんか押し戻されてます! 凄いなぁ…。」
義 母「子宮が収縮して赤ちゃんを出そうとしてるんだよ。風船は出口と逆の
    ほうをギュッと絞ると出口に圧力がかかるでしょ? あれと同じ。」
さふぁ「なるほど…。」
義 母「だから頑張って強い陣痛起こさないと子宮の出口も開かないからね。」


18:00。晩ご飯が来ました。
助産師さん「頑張って食べてくださいね。体力続かないですから。」
嫁さん「………。」
さふぁ「ホラ、食べなきゃダメだよ」
嫁さん「今は食べたくない…。」
結局、嫁さんは全く食べませんでした。お母さんが持ってきたパインを少しは
合間に食べているんですが、それだけじゃ足りないよなぁ…。
しかし、どうすることもできません。なんとか食べて欲しいんですが…。


嫁さん「ねぇ、今どれくらいまで進んでるの? 半分くらい?」
義 母「じゃ、お勉強。初産婦の場合何時間かかるか覚えてる?」
さふぁ「えっと…陣痛10分間隔になってから子宮口全開まで10〜12時間、
    そこから2、3時間だったかな? あっ、あと胎盤出すのに30分…?
義 母「そうそう。ほら、あそこからマタニティスクール時使ったの本出して。」
さふぁ「ハイ、これですよね。」
義 母「ホラ、今この準備期だから…まぁ、大目に言って1/4くらいかな。」
嫁さん「えぇ〜っ、よんぶんのいちぃ〜!? はぁ…。」


18:25。
嫁さんはベッドからイスに移動。座っている体勢の方が楽なんだそうです。
助産師さんが様子を見に来ました。


助産師さん「モニターを見てると、破水の後はいい陣痛来てますよ〜。」
さふぁ「ホントですか。ホラ、いい陣痛だって!」
嫁さん「………うん。」
助産師さん「これなら17日中に産むのも夢じゃないですよ。」
さふぁ「そうなんですか!?」
助産師さん「あ、この部屋でもモニター見れるからつけてみますね」


全然気付かなかったんですが、この部屋にはノートパソコンが置いてあって、
それで赤ちゃんの心拍・陣痛の波の折れ線グラフを表した画面が見れるように
なっていました。





上が心拍、下が陣痛を表すグラフになっています。


助産師さん「陣痛、グラフを振り切るくらいの強さですからね〜。モニターだけを
    見れば子宮口全開しててもおかしくないですよ。…内診してみますか。」


どんな状態になってるのか…!? ドキドキしてきました。


助産師さん「う〜ん、3pくらいですね…」


さっきと変わっとらん…。まだまだ先は長そうです。陣痛の間隔は約3分。
ベッドからイスへ移ったので、私はテニスボールから背中さすり係へチェンジ。


さふぁ「…どう?」
嫁さん「うん…もっと内側。あと、もう少し軽くさすって。」
さふぁ「わかった。」


どうしても力が入ってしまいますが、「効かないかな?」と思うくらいの力加減で
いいのかもしれません。さすりながら一緒にヒーフー呼吸もしてみます。
私、これでちゃんと助けになっているんだろうか…? 頑張ってる嫁さんの姿を
見てると、大したこともできない自分が歯がゆく感じられます。


19:17。先生が見回りに来ました。
先生「頑張ってるね〜。ホントにいい陣痛だね〜!」


このあたりでノートパソコンの調子が悪くなり、グラフが見られなくなりました。
いろいろやってみたけど結局ダメ…。戻りません。


19:20。助産師さんが見回りに来ました。さっきとは別の助産師さん。
交代しながらやっているみたいです。
助産師さん「いや〜、いい陣痛来てるよ。よかったねぇ〜。」


来る人来る人、いい陣痛って言って帰ります。順調ってことでしょうか?


19:30。さふぁ家の家族到着。
私の父・母・弟・妹。わざわざ実家から病院に駆けつけてくれました。LDRで少し
話した既に来ていた嫁さんの父さんと一緒に談話室で待機してもらうことに。
全員で見ててもしょうがないし、プレッシャーかかりますしねぇ。なんとか今日中に
孫・甥っ子の顔を見せてあげたいものです。


20:10。
嫁さんがイスからベッドに戻ります。


嫁さん「このほうが楽…かな…。どうなんだろう…。やっぱり痛いかな…?」
嫁さん「…なんか、何をどうしていいかわからなくなってきた…。」
義 母「みんなそう思うんだよ。アンタが好きなようにしなさい。それでいいの。」
嫁さん「うん…。」


さすが経験豊富な人の言葉は違うなぁ…。私の気休めとは言葉の重みが違う。
アドバイスの他にも、ここまでトイレの付き添い&始末、パッドの取り替え等々、
お義母さんは大活躍です。ナースコールでいちいち助産師さんを呼び出すのも
なんか躊躇いそうですが、わざわざ呼ばなくてもお義母さんに聞けば全部わかり
ますし。わからないことずくめなだけに、何が正常で何が異常なのか、判断して
くれる人がいるというのは、精神的負担がかなり少なくて済みます。
助産師さんや先生の見回りって意外に間隔あってなかなか来ないんですよね。
こんなに出産の間ずっと「専属助産師さん」が付いていてくれることなんて、普通
ありません。ものっすごいVIP待遇ですよね(笑)。ホントにありがたいことです。


ここであらかじめ用意していた「張るカイロ」を嫁さんの腰に張りました。暖めると
少し痛みがやわらぐようです。


21:30。
このあたりで私の家族、嫁さんのお父さんはいったん家に戻りました。まだまだ
どれくらいかかるか見当がつきませんので…。明日また、来てくれるそうです。
ちょっと陣痛が強くなってきたので、呼吸法もヒーフー呼吸からヒッヒッフーへ。
背中のさすりすぎで、紙でできているお産用の服が破れてきました。


22:25。再び内診。
助産師さん「うん、イイ感じのモノが出てきてますよから。子宮口は…4pかな。
    赤ちゃん、下がってきてはいますね。皮も薄くなってきてますよ。」


これだけ嫁さんが痛みに耐えて、さっきより1pしか開いていないのか…。
マタニティスクールの教本には陣痛が10分間隔になってから全開まではおよそ
10〜12時間と書いてありましたが、もっとかかりそうです。全開の10pまでに、
嫁さんはいったいどれだけ苦労するのか、想像したら恐ろしくなってきた…。


23:03。
嫁さん「………っ! ヒッ、ヒッ、フー………。」
さふぁ「ヒッ、ヒッ、フー………。ちょっと間隔が狭まってきたね。」
嫁さん「下の方が重たくなってきた感じがする…。」
義 母「赤ちゃんがまた下がってきたのかもね。でも、強い陣痛がもっと連続して
    こないと子宮口は開かないからね。赤ちゃんも大きいんだし。頑張って。」


23:45。
義 母「今日はもう無理だね〜。18日になっちゃうね。」
さふぁ「誕生日、18日か〜。」
嫁さん「あとどれくらいかかるんだろう…。」


順調に来ているっぽかったので今日中に終わるかと思っていましたが、二日目に
突入するようです。空に輝く満月の力で、夜の間には産まれてくれるかな…?







10月18日(妊娠41週2日) 長期戦
LDRで陣痛との戦いを続けているうちに日付が変わりました。今日こそ対面は
できるんでしょうか…?


0:40。
嫁さん「来た…。うっ、うぅう…! ………ヒッ、ヒッ、フー…。」
さふぁ「頑張れ、頑張れ…。」
嫁さん「もうさすらなくてもいい…。触らないで、そっとしておいて…。」
さふぁ「…わかった。」


さすらなくていいと言われると…あとはじっと横で見ていることしかできません。
せいぜいお茶が欲しいといったら飲ませて、冷たいタオルが気持ちようなので
ときどき水にあてて、しぼって持っていくくらいです。無力感を感じます…。早く、
嫁さんをこの痛みから開放してやってくれ…。
陣痛は相変わらず2〜3分間隔。なかなか間隔が詰まらなくなってきました。


1:35。助産師さんが見回りに来ました。
嫁さん「まだ…産まれないんですかね…?」
助産師さん「う〜ん、今すぐにというわけにはいかないけど…でも、順調ですよ。」
嫁さん「そうですか…。うっ…ヒッ、ヒッ、フー……ヒッ、ヒッ、フー…!」
義 母「でも、アンタ本当に我慢強いわ。もっと痛みで暴れたりする人いるもの。
     私の時だってこんなに声をあげずに我慢なんてできなかったよ。」


私も、今まで大きな痛みと戦ったことのない嫁さんが陣痛に耐えられるかどうかを
不安に思ったことがありましたが…こんなに長い時間、ずっと頑張ってる…。
そう思っていたことを申し訳なく感じました…。横にいるだけの私ですら、そろそろ
疲れてきたのに、嫁さんはこれに痛み・不安との戦いが加わります。子供を産む
のって、本当に大変なことなんですね…。世の中のお母さん達ってみんな凄い。
実際に陣痛を戦う様子を見て、つくづくそう思いました。


2:30。
嫁さん「来た………ううぅ!痛いッ…! ヒッ、ヒッ、フー、うぐぐぅぅ…!」
義 母「よしよし、痛いねぇ。痛いねぇ。いいことだよ。こういう強い陣痛が来ないと
     赤ちゃん出てこられないんだから。喜ばないとダメだよ。」
さふぁ「そ、そうなんですか(^^; でもホラ、ようやく進んできたってことだよ!」
嫁さん「うん…。」


ちょっと陣痛が強くなってきました。
そして分娩監視装置の心拍音に混じって、電話口に息を吹きかけたような音?が
聞こえます。ガガーッて。これは赤ちゃんが子宮の中で回っている音らしいです。
こうやって頭で子宮を圧迫して、子宮口を広げているんです。赤ちゃんも頑張って
産まれようとしています!


3:00。内診。
陣痛も強くなってきたし、だいぶ広がってきているはず…!


結果…4p。そんなぁ…。


これだけ頑張ってるのに、前回の内診と変わっていないなんて…。助産師さんの
話では、だいぶ皮が薄くなってきてるので、これから開いていくとのことですが…。
全員、落胆の色が隠せません。


3:20。
再びベッドからイスへ移動。
嫁さん「ヒッヒッフー呼吸するの疲れてきたから…普通の呼吸でもいい…?」
義 母「いいよ。自分の楽だと思うやり方にしなさい。」


4:00。
部屋のパソコンで陣痛の波が見られなかったのですが、助産師さんが廊下にある
パソコンで見れるようにしてくれました。
画面を見ると…陣痛の波が昨日の画面のように上まで達しておらず、なだらかな
山になっていました。実際、嫁さんの陣痛もまた少し弱くなってきました…。


4:25。
助産師さん「ちょっと、間隔も広くなってきたね…。陣痛の合間、寝れそうですか?」
嫁さん「う〜ん…。」
助産師さん「日中頑張れるよう、休めるうちに休んでおきましょう。」
嫁さん「に、日中…! そこまでかかるんですか…!?」


最初は当日中に終わるかもしれないという話もあったのに、もう今日の日中の話を
している…。


5:50。
嫁さん「うぅ…。も、もう限界かも…。12時間以上経ってるよ…。うぐぐ…。」
義 母「何言ってるの、ここまでも頑張ってこれたんだから、大丈夫!」
嫁さん「もう、切っちゃうっていうのは…?」
義 母「ホラ、心音聞いてみなさい、赤ちゃんだってずっと頑張ってるんだよ。
    アンタが先にまいってどうするの。お母さん。」
さふぁ「そうだよ。ホラ、何か食べて体力つけないと。何か食べたいものない?」
嫁さん「食べたくない…。」


嫁さんがだんだん弱気になってきました。この、ゴールの全く見えない状況の中で
頑張らなきゃいけないというのが精神的に相当にキツイです。何をやれば進展する
というのも全くわからないし…。寝ていないし食事も食べていないので、肉体的にも
疲労はピークでしょう。その疲労でまた陣痛が弱まるという悪循環。
嫁さん、お義母さん、私、ここが一番つらかったと意見が一致する時間帯です…。
この時には本当にこの出産に終わりはあるのか?と真剣に思いました。


7:25。内診。
助産師さん「4.5p…かな。頭はだいぶ下がってきてるんだけどね。」
さふぁ「そうですか…。でも、ちょっとずつだけど進んできてるよ。」
助産師さん「疲れてるから間隔長くなってるけど、陣痛が強まりさえすれば一気に
    進むと思うよ。皮も薄くなってきてるし。」
義 母「ツライかもしれないけど、破水もしてるし、陣痛を強める努力をしないとね。
    おっぱいマッサージするからね。」
嫁さん「わかった…。」


マッサージには母乳の出を良くするだけでなく、刺激を与えることで子宮の収縮を
促す効果もあります。疲労のピークの今、これをやるのはかわいそうかもしれない
けど、停滞したまま時間が過ぎていくのもよくないし、頑張ってもらうしかないです。


8:00。朝食が来ました。
相変わらず食欲はなし。なんとか付いてきたバナナだけ食べさせました。
マッサージをすると陣痛が強まるのですが、ちょっと経つと元に戻ってしまいます。
なかなか強い陣痛が定着しません。


8:30。上司に電話。
さふぁ「すいません…まだ、産まれてないんです…。」
上 司「えっ? まだなの…? 今、病院かい?」
さふぁ「そうなんです…。申し訳ありませんけど、今日も休んでいいでしょうか…?」
上 司「あぁ、こっちは大丈夫だよ。しかし大変だね…寝れたかい?」
さふぁ「いえ、一睡もしてません(^^;」
上 司「そうか(^^; まだ長いかもしれないけど頑張ってね。」
さふぁ「はい、産まれたら連絡しますので、よろしくお願いします…。」


昨日のうちに、急ぎの仕事や「明日来なかった場合」の引継は済ませてきたので
そっちのほうは大丈夫なはず。


9:35。内診。
助産師さん「5pになりましたね。ゆっくりだけど、順調ですね。」
嫁さん「まだ5p…。」
助産師さん「煮詰まってきたし、気分転換に外に出ましょうか。もう一度、骨盤の
    レントゲン写真撮ってみましょう。動けますか?」


40週の前にレントゲン写真は一回撮っていますが、赤ちゃんが大きいということも
あってもう一回撮るようです。ここまできて、帝王切開になったら…?
その後嫁さんは車椅子をお義母さんに押されながらレントゲン室へ向かいました。


10:15。嫁さんが戻ってきました。
さふぁ「どうだった?」
嫁さん「大丈夫。帝王切開にはならないって。でも、陣痛促進剤打つみたい。」
さふぁ「そっか…。でも、まだ普通分娩の方向で行けるってことだもんね。」
義 母「赤ちゃんが大きいからしょうがないんだよ。小さい赤ちゃんだったら、もう
    出てきててもおかしくない陣痛なんだけどねぇ」
嫁さん「うぅ、なんでこんなに大きくなったんだろう…。」
義 母「でもね、これだけ時間かかっても赤ちゃんがずっと元気だから普通分娩で
    頑張れるんだよ。ホラ、心拍がず〜っと乱れないでしょ? 大したもんだよ。
    破水もしてるのに。赤ちゃんに感謝しないとね。さ、お母さん、頑張りましょ。」


10:50。点滴で陣痛促進剤投与。
様子を見ながら、30分〜1時間間隔で投与量を上げていきます。


11:00。私の父からメールが来ました。
メール『今日(10月18日)は郷ひろみの誕生日だってさ』


う〜ん。心底どうでもいい(^^; 初孫だというのに、のんきだなぁ…。


12:45。
お義母さんのマッサージと陣痛促進剤の効果か、陣痛の間隔が1分30秒くらいに
なってきました。昼ご飯も食べれないみたいだけど、少しずつ進展してきました。


14:00。内診。
助産師さん「子宮口は…5pだね。」
嫁さん「また5p…。」
助産師さん「じゃぁ、ブスコパン注射するから。子宮を柔らかくする薬だからね。」
嫁さん「どれくらいで効くんですか…?」
助産師さん「1時間くらいかな。」
嫁さん「結構、かかるんですね…。うっ、来た。…フー…フー…フー……。」
さふぁ「フー…フー…フー……収まってきた…?」
嫁さん「フー………フー………。うん…。」


陣痛促進剤に続いて、また何か薬を使うらしいです。だ、大丈夫なんだろうか…?
効き目は1時間くらいで出てくるらしいです。
でも、注射というからまた腕に打つのかと思いきや、点滴の管の途中に注射の針を
入れるようなところがあって、そこに打てるようになってるんです。陣痛の他に痛み
が増えなくてよかった…。


14:35。ブスコパン2回目注射。
ブスコパンというのは3回に分けて、30分おきに注射するようになってるようです。
そういえば以前、看護学生をつけるという話もありましたが、体力の消耗も激しそう
なので病院側で断ってくれたそうです。確かにこの状態で学生に周りをチョロチョロ
されても…イヤだよなぁ。ここまできたら身内だけで頑張りたいし。助かりました。


15:05。ブスコパン3回目注射。
ここで少しずつ投与量を増やしていた陣痛促進剤が、子宮口全開前の投与可能な
MAX量に達しました。効いてきてるのか、陣痛の間隔は約1分になってきました。
しかし助産師さんが「いい山は来てるんだけど、大きさが…」というように、もう少し
陣痛が強まってくれないとダメみたいです。大きい赤ちゃんを外に出すためには、
それなりの強さの陣痛が必要なようで…。


16:05。内診。
助産師さん「………少し開いてきましたね。7…8pくらいかな。」
さふぁ「聞いた? 開いてきたって! あと2pだよ、2p。もうちょっと!」
助産師さん「立っているほうが進むかもしれませんから、ちょっと頑張って、立って
    みましょうか? 立てますか?」
嫁さん「はい…。」
さふぁ・義母「よし、頑張ろう。つかまって…よいっしょ!」


確かに、立っているほうが重力の力も手伝って、赤ちゃんの頭での圧迫が強くなる
かもしれません。疲れてるだろうけど、長くなればなるほど体力を消耗するだけに、
少しでも陣痛を強める努力をするしかありません。頑張れ…!


16:45。
陣痛が30〜45秒間隔になってきました。いったん嫁さんがイスに座ります。
さふぁ「疲れたでしょ。このままイスに座る体勢でいたら?」
嫁さん「もう少ししたら立つから。少しでも進めないと…。」
さふぁ「立ってたら進んできたもんね。ちょっとゴールが見えてきた気がしない?」
嫁さん「うん。立ちながら、ちょっとスクワットもしてみようかな。」
さふぁ「よし、一緒にやろっか。でも無理はしちゃダメだからね。」


弱気だった嫁さんが前向きな気持ちになってきました。今までは陣痛に耐えるのが
精一杯という感じでしたが、自分から陣痛を強める努力をしようとしてます。
夜中から朝方にかけて停滞していた陣痛が進んできたことで、頑張る気力が出て
きたみたいです。ようやく、ゴールに向けて良い方向に進んできた気がするぞ…!
赤ちゃんの心拍もずっと乱れがなく、変わらず元気。持久力のない私に似ないで、
スタミナがある赤ちゃんなのかもしれません。マラソン向き…?


17:55。内診。
助産師さん「9…、8pかな? 赤ちゃんの下がりもいいし、間隔もいいですよ。」


よしよし、子宮口の開くスピードがだんだん早くなってきたぞ。
と、ここでちょっと前から来ていた嫁さんのお父さんが…。


義 父「さふぁさん、お腹空かないかい?」
さふぁ「ちょっと空いてきましたけど…後で下の売店で弁当買ってきますよ。」
義 父「じゃ、一緒に外に食べに行こう。」
さふぁ「え、でも…ここで食べるからいいですよ。」
義 母「ずっと寝てないし、気分転換になるから行ってらっしゃい。」


結局…断れませんでした…。うぅ、居ない間に産まれてたりしないだろうなぁ…。
ここまで不眠で頑張ってきて、それはあまりにも悲惨すぎる。


17:15。食事から戻りました。ずっと気が気じゃなかったです。
さふぁ「どう? 何か変化あった…?」
嫁さん「ん…時々、すごい強い陣痛が来るようになったの…。」
さふぁ「薬が効いてきたのかもね。」
嫁さん「! ハァ、ハァ、…んッくぅぅぅぅぅッッッッッッッ………!!!」
さふぁ「だ、大丈夫…!?」
嫁さん「………ハァ…うううぅぅんんッッッッッ…!!! フー………フー……。」


さっきまでとは明らかに違う痛がりようです。その声を聞くだけでこっちの心臓が
締め付けられるよう…。触られるのもイヤみたいで、手を握ることもできないので
横で見ているしか…できません…。涙が出そうになりましたが、私が泣いてても
しょうがない。嫁さんも頑張ってるんだし、堪えねば…。
こういう強い陣痛が来るのを待ってたはずなのに、実際に苦しんでいる嫁さんを
目の当たりにすると、陣痛が弱まるように祈ってしまいます…。


20:00。内診。
あれから約2時間半。ずっと強い陣痛と戦ってきましたが…その成果は…?


助産師さん「ほぼ全開かな。今、赤ちゃんの頭少し上げたから、次に強い陣痛
    来たら押し出す勢いで全開になるかもしれないよ。」
嫁さん「全開…!」
助産師さん「でも、この状態で少し頑張ってみましょう。いきむのはもう少しだけ
    待ちましょうね。完全に全開するまでもうちょっとの辛抱ですよ。」


ほぼ、ですが全開です! この言葉を聞くために、どれだけ待ったことか…!
この時、赤ちゃんが産まれる瞬間をやっとイメージできるようになってきました。


22:00。内診。
助産師さん「…全開ですね。じゃぁ、(いきみを)頑張ってみますか。」
嫁さん「はい…。」
助産師さん「その前にお小水取って、それからいきみの本番いきましょう!」


実は夕方くらいから私の父・母も病院に来ていたので、ここでいったん談話室で
待っているその二人+嫁さんのお父さんに報告です。
ちなみに、嫁さんにはプレッシャーをかけるといけないので、私の父母が来てる
ことはナイショにしてあります。


さふぁ「ようやく子宮口全開したから、これからいきみ始めるってさ」
 母 「そっか、もうちょっとだね。」
 父 「そこからはどれくらいかかるものなんだ?」
さふぁ「本当に自分の子の時は無関心だったんだな…。たぶん2,3時間だよ。」
義 父「楽しみだね〜。待ち遠しいね。今日中に産まれるかもねぇ。」
さふぁ「そうですね、もう一頑張りですよ。産まれたら呼びに来ますね。」


私が戻ると、ベッドを変形させて分娩台にしているところでした。LDRでなければ
ここから分娩室に移動するのですが、一番ツライ時にそういう負担をかけなくて
済むのは助かりますね。負担は少しでも少ない方がいいですから。
ここらで先生が登場。今日の当番の先生は随分若いんだな…大丈夫なのか?


22:40。
ベッドの変形、吸引・酸素などの準備、道具も揃っていよいよいきみ開始です。
点滴はつけたまま、全開したあとだと促進剤はもう少し投与してもいいらしいので
少しずつ多くしながら、陣痛を強めて、いきんでいきます。


助産師さん「陣痛が来たら、深呼吸して、大きく吸ってから息止めるんだよ。」
嫁さん「…来た。スー…ハー…スー…ハー…スー………っっっっんっ!!!
助産師さん「息を口から吐いちゃダメですよ。あご引いて、下から息を抜く感じで。」
嫁さん「っ……………プハァ! フー…………。」
助産師さん「よしよし、上手だよ〜。」
さふぁ「汗、拭いてあげるね。しかし、なんか妙に暑いなぁ…。」
助産師さん「赤ちゃんにはこれくらいの温度がないと寒いからね。我慢しましょ。」


私は横で嫁さんの手がかかってる手すり(?)に手を置き、いきむときに一緒に
引っ張ります。この時の嫁さんの引っ張る力、今までに見たことのない力です。
疲れてるけど、最後の体力を振り絞って頑張ってるんでしょう。
でも、子宮口全開までの先が見えない状態で頑張るのとはずいぶん違うはず。
私も気持ち的にだいぶ楽になりました。油断はできないけど、あともう少しだけ
頑張れば…10ヶ月ずっと会いたかった私達の子供に会えます。


23:00。
嫁さん「スー…ハー…スー…ハー…スー………ふぅっっっっっ!!!
助産師さん「よし、吸ってから…もう一回!」
嫁さん「スー………っっっっっっっっっ!!! ぷはぁ………!」
助産師さん「よし、ちょっと休みましょう」
嫁さん「どれくらい出ました…?」
助産師さん「頭がこれくらい(手で3pくらいの輪を作って。)かな。」
嫁さん「まだそれくらいなのか…。」
助産師さん「一発で出るっていうのはないからね。ジワジワとしか出ないよ。」


でも、ジワジワだけど確実に前進が感じられます。もう頭の一部は外の空気に
触れているんです。赤ちゃんは今、どんな気持ちなんだろう…? 助産師さんの
指も触れてるし、今までと違った感触を頭に感じているはず…。


23:30。
嫁さん「スー………っっっっっ!!! ぷふぅ………。」
さふぁ「ぷはーっ。よし、手の力抜こうね。」
助産師さん「ここで大きく何回か深呼吸しましょう。」
嫁さん「スー………ハー………スー………ハー………」
助産師さん「ず〜っと息止めてると、赤ちゃんに酸素いかないからね。ほら、今
    ちょっと赤ちゃんの心拍が遅くなったでしょ?」
さふぁ「なるほど…。あ、また普通の早さに戻った…。」
助産師さん「そう。だから今、深呼吸してくださいって言ったの。」
さふぁ「赤ちゃん、まだまだ元気だね。出てこようと頑張ってるみたいだよ。」


23:50。
さふぁ「ねぇ、ちょっと頭が出てるの見ていい…? イヤだったらやめるけど。」
嫁さん「あ、見てもいいよ〜。」
さふぁ「どれどれ………。!!! ホントに頭が見えてるよ!」
嫁さん「なに、ホントに見えるの?」
さふぁ「髪の毛もちゃんと生えてるよ。もうちょっとで出てくるよ、これ!」


私はここでビデオカメラをベッドの後ろ上の方にセット。ヒザから上しか写らない、
我ながら絶妙の位置取りです。これなら赤ちゃんをちょっと上に持ち上げれば
写りますし、音声はアングルに関係ないので一部始終、産声もしっかり撮れる!
60分テープだからタイミングを計っていましたが、これなら間違いなく1時間以内
には産まれるでしょう! いよいよ、待望の瞬間が近づいてきました。


さふぁ「今日も…また日付が変わるね…。」
嫁さん「えっ、もうそんな時間…?」
さふぁ「誕生日は10月19日かぁ…。」
嫁さん「そっか…。」
さふぁ「あと、10秒で日付が変わります。………5…4…3…2…1…」


長い長い戦いも、本当にあと少し…。明日はついに、対面です…!







10月19日(妊娠41週3日) 戦いの終結、そして…
さふぁ「……0! 19日になりました〜。」
嫁さん「19日…。」
陣痛と戦いながら、入院3日目に突入。しかし、今日こそは、間違いないはず!


助産師さん「いきむときは一気に強くいきまないで、長〜くいきむようにね。」
嫁さん「はい…。」
助産師さん「ちょっとむくみもあるから、産むとき切れるかもしれないね…。」


どうやら会陰切開になるようです。できることならやりたくないけど、これくらいの
大きさになるとしょうがないのかもしれませんね…。
赤ちゃんの心拍はドッドッドッドッドッド…と、相変わらず元気に一定の速度で
リズムを刻んでいます。


嫁さん「んんっっっっっ……ハァ………。なんか、いきんだ後が気持ち悪い…。」
さふぁ「………おっ、もうちょっとだよ。もうちょっと! もう少しで声聞けるよ!」


もう、頭が直径10センチくらい出ています! もう少しだ、頑張れ嫁さん!


助産師さん「はい、ゆっくり静かにいきむんだよ…。」
嫁さん「………んんんん……・ッ! 痛い……!」
助産師さん「はいはい、痛いね…もう少しだよ…もう、痛くない?」
嫁さん「………ふぅ………」


嫁さんが一回いきむごとに、自分の心臓の鼓動が早まってくるのを感じます…。


先 生「ちょっとね、切開入れないと切れるかも知れないから入れるからね〜」


うぅ、さすがに切る瞬間は見れない…( ̄、 ̄;)


義 母「そろそろビデオの準備しておいてね。」
さふぁ「あ、もうそこに固定して撮ってます。バッチリです。」
義 母「準備いいね〜。」


我が子がこの世に出る瞬間を撮り逃すわけにはいきません。バッチリですぜ。


先 生「はい、(いきみは)じわーっとね。じわーっと。」
助産師さん「ゆっくりね。ゆ〜っくり…」
先 生「よし、上〜手、上〜手………。」
助産師さん「ふぅ〜、だよ。ふぅ〜。ほら、ふぅ………」
嫁さん「痛ぁぁい………!」
助産師さん「はい、最後の仕上げ! ふぅ〜!」
嫁さん「ふぅ…。ふぅ…。」
助産師さん「じゃ、次に痛いの来たら頑張るけど、あまり頑張りすぎてもダメだから
    胸の前で手を組んでね。そのまま、静か〜に、ゆっくりだよ。」


つ、次…! 次の陣痛が来たら…ということですよね…!?


助産師さん「はい、一番大事なところだからね。静か〜に、静かにね…。」
先 生「よ〜し、上手い上手い…。」
嫁さん「……………っっっ!」
助産師さん「はい、もう一度頑張って…! もう少し、もう少し…!」
嫁さん「…………!!!」


………で、出てきた!!! なんか…紫色の人が出てきた〜!!!


助産師さん「………はい、(0時)19分ね!」
嫁さん「………あれ? も、もう出たの?」
一 同「出たよ〜!!!」


先生と助産師さん、紫色の人の口などに管を入れて水を出します。


紫色の人「………ぎゃふっ」
助産師さん「よしよし、くしゃみだよ〜。」


まだか……産声はまだか……大丈夫なのか…? ちゃんと泣くのか……?
妙に紫色のせいか、心配です。時間が長く感じられる…!




……ぁふっ あ゛ぁ゛っ! あ゛ぁ゛っ! あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ! んぎゃぁ〜っ!




な、泣いたぁ〜っ!


一同「あぁ〜〜〜っ………!」


そして手足をバタバタして、動いています…。動いた瞬間、なんとも言葉に表せない
気持ちが、私の中にわき起こります…。今までは想像するしかできなかったことが、
自分の目の前で実際に起こってます…。


助産師さん「いや、頑張った頑張った!」
嫁さん「泣いてる〜!」
助産師さん「よ〜しよしよし、よ〜く出てきたねぇ…!」
嫁さん「ありがとうございました…! 男の子? やっぱり…?」
助産師さん「男の子!」
さふぁ「いやぁ………しかし、元気だね………!」


しばらく経つと、紫色だった体がみるみる血の通った赤色になってきます。


助産師さん「へその緒、切るかい?」
さふぁ「え? いいんですか? じゃぁ…。」


へその緒はクリップ?みたいなので2箇所が止められていて、その止めてある
間の部分にハサミを入れます。ぢょぎっ、ぢょぎっ…、と。なんだろう、鳥肉の
皮部分を切ってるような感じ…。へその緒の色もちょうどそんな色だし。
痛みがあるかどうかはわからないですけど、やっぱり人の体の一部にハサミを
入れるというのは…正直、あまり気持ちのいいものではなかったです。でも、
他の人にやらせるのもイヤなんですよね(^^;
あ、でも仮に痛みがあったとしたら嫁さんと赤ちゃん、どっちが痛いんだ…?


助産師さん「じゃ、お母さんのところに行こうか。」
嫁さん「………あ〜っ!すご〜い…! 動いてる…! やっと会えたね…!」


胸に赤ちゃんが乗せられます。そして抱っこ。カンガルーケアってヤツです。
すると…不思議と赤ちゃんが泣きやむんです。お母さんのニオイがわかって
るんでしょうか…? 10ヶ月間ずっと一緒だったもんなぁ…。
産まれたばかりなのにしっかりと目を開け、ちっちゃな手でしっかり嫁さんの
胸にくっついています。それに、母乳はまだ出ないけど口をおっぱいにつけて
やると…ちゃんと吸うんです! 本能ってヤツなんでしょうけど、教えられた
わけでもないのに、すごいよなぁ…。





楽しみにしていた「私の声に反応するか」については…こっそり名前を呼んで
みたけど無反応でした。残念。まぁ、これからもたくさん話しかけて、最初に
「お父さん」と呼ばせてみますよ(笑)


でも、まだこの子と「3人家族」って実感があまり沸きません。私たちの子供
なんだよなぁ…。なんかすごいことが起こってるのは感じるんですが…。
目の前で起こってることをじっと見つめるのが精一杯で、可愛いとかそういう
ことを考える余裕がないのかもしれません。


助産師さん「さ、それじゃぁ体重計ろうか。お父さん、こっち来てね。」


さて、お楽しみの体重測定です。約1週間前に測ったときは3800gを超えて
いましたから、もしかして4sの大台に乗ってるか…!?


…3746g。あれ? 減ってる…。思ってたより軽かったなぁ…。ここまで苦労した
からには「ウチの子4sもあってさ〜」とか周りの人に言ってみたかったので、
ちょっと残念な気もします。結果だけ見れば、これ以上大きかったら普通分娩で
産むこと自体無理だったかもしれないんですけど…。
他に頭の大きさや胸囲など、体のサイズも測りました。頭は多少大きかったよう
ですが、他はそんなに普通と比べて目立って大きいわけではなかったようです。
やっぱり、この頭のデカさが大変だった要因の一つか…? 推定体重を出す時に
頭の大きさはだいぶ数値に影響してきますし、多めに出たのもこのせいですね。


体重等を測った後は服を着せてもらって、LDRの外で待つ私の両親・嫁さんの
お父さんにお披露目。私の父も最初は「怖いからいい」と抱っこを拒否していま
したが、嫁さんの両親に勧められて恐る恐る抱っこしてました。
4D写真の時から言われてたけど…やっぱ私の父と息子、似てるかも…。それに
父だけでなく、父方の兄弟の誰かにも似てる気がするぞ、ウチの子。
ひととおりみんなに抱っこしてもらい、写真もいっぱい撮られて、可愛がられた
後は、新生児室に連れて行かれました。
ちなみにその間、嫁さんは切開のキズを縫合したり、LDRの中で一人さびしく
過ごしていたようです。大仕事を終えて体力回復しなければいけないとはいえ、
一番頑張ったのにあまり赤ちゃんを見れないのはちょっと不憫です。明日からは
逆に一人の時間が欲しくなるくらい振り回されるんでしょうが(^^;


少し経って、いろいろな後処理も終わって、全員がLDRに入ってもいいという
許可が出ました。入ってみると、嫁さんもベッドに座っていて、ちょっとは回復
したみたい。気持ち的にも楽になったのか、陣痛〜出産中の別人のような顔では
なく、いつもの嫁さんの顔に戻っています。この顔、久しぶりに見た気がする…。


それからしばらくはみんなで談話タイム。疲れてはいるけど、大変だっただけに
ここまでの苦労話とかをするのは楽しいもんです。私・嫁さん・お義母さん以外
の人は3人でどれだけ頑張ったか知らないわけですしねぇ。それを知った上で、
もう一回改めて嫁さんの頑張りを讃えてください(笑)


嫁さん「ねぇ、みんな揃ってることだし、発表…する?」
さふぁ「そうだね、発表しちゃおうか。」


ここで発表することとは…そう、名前の発表です。
名前が決まってからはお腹への呼びかけはず〜っと名前でしていましたが、私達
夫婦以外の人に赤ちゃんの名前を聞かせるのは初めてです。
しかし、いざとなると…やっぱり照れるな…σ(^^;)


※公開期間終了〜


嫁さんはこのまま、朝まで休んでから4人部屋に移るということなので、荷物を
少し片づけて、私と両家両親は1日半陣痛と戦った部屋を後にします。


さふぁ「本当にお疲れさまだったね。頑張ってくれてありがとう。」
嫁さん「うん、でも二人も一睡もしないで疲れたでしょ? 帰って休んでね。」
義 母「アンタも明日から大変なんだから、ちゃんと休みなよ。」
嫁さん「は〜い。でも今日は寝れるかなぁ…。」
さふぁ「仕事終わったら、すぐ病院に来るからね〜。」


帰りに寄った新生児室では、ふうきがスヤスヤと眠っていました。今は静かだけど
明日から、いろいろと手を焼かせてくれるんだろうなぁ。「お父さん」って呼んで
くれるのは、いったいいつの日になるんだろう…? その時は泣くかも(笑)
いろいろと楽しみは尽きません。大変なこともあるだろうけど、嫁さんと二人で
楽しみながら育児をしていけたらいいなと思います!






家に着いた時には朝の3時半になっていました。その後寝たのは4時くらいです
から、45時間寝ていませんでした。自己新記録です。
でも、疲れたけど最初から最後まで出産に立ち会うことができて、本当によかっ
たと思います。出産の大変さも見ることができたし、自分の子供が産まれるまで
の一部始終を見届けることできて、これらは私がこれから嫁さん・ふうきを支えて
いくにあたって、大きな力になるような気がします。


そして、こうやって妊娠から出産までの記録を最後まで付け続けられたことも、
自分にとっていい面に働いた部分がたくさんありました。
自分の子供の産まれるまでの記録を残せたこと、いろんな人に見てもらう喜び、
そしていろんな方に見ていただいていることで、頑張らなければ!という気力を
振り絞れたことがたくさんありました。怠け者の私が、最後まで出産に参加しよう
という意識を持ち続けられたのはこの体験記を読んでくださった方々のお陰だと
思ってます。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。




それでは、「出産体験記」はこれにておしまいです。
これからは夫婦で助け合って、いろんな方々の助けもお借りしながら、子育てを
頑張っていきたいと思います。その様子は日記のほうでお楽しみ下さい。


最後にもう一度…。
ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!




やっと対面できました。






出産体験記、完。






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